「和紙糸」との衝撃的な出会い。
2019年の夏、「和紙糸」に出会いました。
まだ商社にいたころのお話。
今までアパレルの小売店からアパレルメーカー、繊維商社と二十数年務めてきたのですが、とある糸商から素材を見てほしいと相談を受けたのが2019年の夏。
繊維商社ですので、糸・生地の開発は常に行っていたのですが、相談される素材は「和紙糸」だったんです。それまでにも「和紙糸」は少し触っていたことがあるのですが、扱いにくい素材という認識しかありませんでした。
まじまじと「和紙糸」について説明をしていただき、商品サンプルをいろいろ見させていただいて、靴下のサンプルで、まず手触りに驚きました。
Tシャツやセーター、デニムパンツは商社にいたころ、少しお手伝いをしましたが、和紙は軽い素材というくらいの知識で、それ以上深堀をしていませんでした。
和紙の手触りにまず驚く。
今では技術も発達し、和紙100%の商品など出てきましたが、当時は和紙を使った商品といっても少し和紙糸を入れているくらいのもので、和紙が入っていると言われても全然わからないものばかりでした。
その靴下のサンプルは、今まで触ってきたものとは全く異なる手触りで、シャリシャリした感触。
いつもカジュアルな服装なので、綿×ヘンプなどの分厚めのカジュアルソックスを履いていたのですが、目の前にある靴下は軽いのにハリがある商品。
しかもホールガーメント®という無縫製のシークレット5本指ソックス。
※シークレット5本指ソックスとは、外観は普通で、内部で5本指にわかれた構造をしています。
※ホールガーメント®は株式会社 島精機製作所の商標登録になります。
使っている「和紙糸」に特徴があり、和紙100%ではないのですが、糸の表面が和紙100%の素材。
どういうことかというと、ポリエステルのフィラメントに和紙をグルグル巻きつけたものがこの「和紙糸」。混率で言うと、分類外繊維(和紙)57%、ポリエステル43%。
糸の太さにより混率が違ってくるのですが、糸の表面は和紙100%!
それまでに触っていた和紙を使った商品といえば、綿と和紙を交互に使ったり、綿と和紙を撚糸したりして、和紙だけの手触りというものはなかったんです。
和紙のシークレット5本指ソックスの履き心地に感動。
手触りだけでも驚いたのですが、サンプルを2足ほどいただき、帰宅後、試着させてもらうことに。
服に関わる仕事なので、靴下も30足以上は持っていたのですが、靴下でこんなに驚くとは思いませんでした。
まず、シークレット5本指ソックスを今まで履いたことがなく、5本指ソックス=履くのに面倒くさいというイメージ。
これが一瞬で変わりました。スポッと5本とも指が収まるんです。何度やっても。
その次に、和紙の生地の感触。糸の表面が和紙100%なので、指の間にも和紙の生地が挟まり、何とも言えないシャリシャリした気持ちいい履き心地。
今でこそ履きなれていますが当時は、声に出して「何だコレ!?」しかありませんでした。
翌週に工場へ訪問。
試着した翌日、感動を抑えきれず、翌週に訪問したいとアポイントをいれました。
1週間ほどだったと思うのですが、訪問が待ち遠しくて仕方なかった記憶があります。
次回、訪問でのお話。